PERSON 人を知る

坂田 夏水さん
INTERVIEW

愛ある住まい、愛ある暮らしを伝えていく

株式会社GONGRI / 株式会社夏水組 代表取締役

坂田 夏水 Natsumi Sakata

株式会社GONGRI / 株式会社夏水組の紹介

株式会社GONGRI(運営店舗:Decor Interior Tokyo)
愛ある住まいでの暮らしを大切にするお手伝いをしてくれるインテリアショップ。店内は一つ一つ個性的でこだわりを感じる品が多く並んでいて、眺めているだけで幸せな気持ちになります。ずっと大事にしたくなるあなたのお気に入りを見つけることができるはずです。

株式会社夏水組
古き良きものを大切にする空間づくりや、豊かな街づくりを目指した空間デザイン会社です。
デザインだけでなく、セミナーや講演会を開催したり、リノベーション事業はコンサルティングも行うなど、幅広く住まいに関わる事業をされています。

interview インタビュー

Q1:他者からどのようなイメージを持たれていると思いますか?

竹を割ったような性格で、白黒はっきりしていると言われます。仲のいい友人は私の悩んでいる姿も見ているのであまり言わないですが、取引先の方からは決断が早くてあまり悩んでいるように見えないようです。好き嫌いもはっきりしているので、普段の私を知らない人からするとハキハキしていて怖いというイメージも持っている人もいるかもしれませんね。

Q2:その理由はなぜだと思いますか?

仕事柄、YESかNOの選択の繰り返しが多いからでしょうか。内装やデザインを決める時など、お客さまと話し合いながら決めることが多く、私が悩んでいると現場が遅れてしまったり、お客様も悩ませてしまうので、ディレクションする側は常に「最善最速」の決断をしないといけません。そうやって仕事をするうちに、自然と身についてしまったのかもしれません。その性格がプライベートや経営にも影響して、自分でも悩むことが少なくなったようにも感じます。

Q3:そのイメージは自分が望むイメージと近いですか?

自分が望んでいる自分にはなれていると思います。習慣と仕事柄と性格からかと思うんですが、「やる」か「やらない」かという選択肢の時は、「やる」を選ぶようにしています。「やる」を選ぶといろんなリスクは付いてきますが、新境地を開けると思っています。そこで悩んでしまうと気分も落ち込みますし、周りも巻き込んでしまいますが、「やる」と腹をくくれば準備を始められますし、どう進めていくかを考える方にシフトチェンジできますよね。自身の性格的にも新しい世界を見たくなるので、新しい道に進む選択をしています。

Q4:自分が望む他者に与えたいイメージとはどのようなイメージでしょうか?

お客様にお会いすることも多いので、ダラダラしているとか、汚いイメージよりは綺麗でハキハキしていてるイメージを持ってもらいたいです。あとは、「一緒に楽しく仕事ができそうな人」と思ってもらえたら嬉しいですね。普段の仕事でも、意識して行動しています。

坂田 夏水さん

Love

Q1:「愛を伝える」と聞いて、自分にとっての愛とはなんですか?

愛ある住まい、愛ある空間、愛ある賃貸、愛ある内装など、自分が扱っているものや空間に愛がないといけないと思っています。海外の事例や、友人の家を見る機会があった時に、日本と海外のギャップに気づかされたことがありました。彼らは長く愛せるものや空間を自分たちで作り、そこに長く住むことで、「愛着」を生み出していました。一方で日本では、効率を重視したり、利便性や安さを売りにした商品開発やブランディングが行われていることが多くあります。「安く手に入る」商品をただ作るのではなく、長く使う楽しさや良さ、さらには環境負荷についても考え直したいですよね。
私たちはインテリアショップだけでなく、内装設計や商品企画も行なっていて、今の若い人たちがライフワークとしてより良い住まいに住めるように後押ししていきたいと思っています。内装に関する知識を知ってもらったり、勉強するきっかけになったらと想いをこめて仕事をしています。

Q2:わざわざいう必要がない、自分の「こだわり」はありますか?

お客様が「いいもの」を選べるお手伝いをしたいと思っています。ただ選ぶのではなく、オススメしたい理由や、そのものの歴史や文化、うんちくを語れるようにいようと心がけています。
お店でのお仕事以外にも、ライフワークとしてボランタリー(※)な気持ちで「日本にとっていいことってなんだろう」と考えて行動をしています。講師として講演をしたり、学校教育のプログラムに参加したりしているのも、自分が歳を重ねた日本の未来を想像して、少しでも目指す方向に進めるような行動をしています。

(※)ボランタリー(voluntary) 自発的であるさま。任意であるさま。

Q3:現在「愛」が一番向いている関心ごとはなんですか?

愛着のある空間づくりを、私たちだけでなく日本全国に意識を広めていくことに、関心が向いています。
今は、全国のインテリアショップと不動産屋がタッグを組んで、DIY型賃貸借を進めるためのノウハウの研修をしています。建築基準法などの法律の話も問題なく進められるよう、国交相の方々ともやり取りをしています。この活動も、「東京だからできるんでしょ」ではなく、北海道から沖縄、日本全国で協力し合いながら作るようにしています。

Q4:具体的にはどのような活動をされているんですか?

借り手の方がDIYできる家に住みたいとなれば、まず不動産屋でそういう物件がないかどうかを聞きます。現状では「そういった物件はありません」となっているのを「ありますよ!」と言えるように変えていきたいです。
ただ、不動産屋側にとってはオーナーさんから預かっている大事な物件で、DIYを許可するにはリスクを伴います。ペンキを選んだり、壁紙を貼ったりする際に誤った施工方法をしてしまったら困りますよね。その問題に対しても、プロの内装会社やインテリアショップと不動産屋を繋げたり、原状回復しなくていい契約の内容を考え、契約書の雛形をお渡ししたり、具体的な流れをお話しして、橋渡しの役割をしています。そこの循環がうまくいけば、地方に残る古民家を改装して住む若者も増えるかもしれません。それによって空き家の有効活用や日本の古き良き伝統建築を残す動きに繋げられたらと思っています。スクラップ&ビルドを考え直すきっかけになればいいですね。すぐにどうこうできる話ではないですが、何十年かかけてゆっくり前に進んでいけたらと思います。

Q5:関心を持ったきっかけは何ですか?

大学時代に年に数回、一人で海外を旅していた時の影響が大きいです。様々な国を巡った中でも、ヨーロッパのような住まいの文化がある場所が好きで、日本との住環境に対するリテラシーの大きな差を見てしまったからですね。海外の生活に憧れがある方も多いと思うんですが、そもそもの家の在り方や生活などの意識を変えるだけでも、生活にもいい変化が出るので、そういったところから楽しんでほしいです。

坂田 夏水さん

Action

Q1:今まではどのような活動をされていましたか?

「普段の洋服を選ぶような感覚で、自由にお家の内装を選んで楽しめるように」そんな気持ちを込めて、独立前の工務店で勤務していた頃から活動してきていました。工務店の良さは、お客さんの要望に合わせて予算が調整できることです。例えば、お客さん自身が楽しんで壁を塗ったら、別の箇所に予算を充てることができます。お客さんの要望を聞きながら、カスタマイズできるんですね。実際に施工されたみなさんが喜んでくださったんですが、まだまだこんな風にお家づくりができること自体、知らない方も多いですよね。楽しかった実体験をどんどん広めて欲しいと思い、今まで「広める」「知ってもらう」「選んでもらう」活動に注力してきました。
「衣服は人間の皮膚に次ぐ第二の皮膚である」という考え方がありますが、第三の皮膚は住宅の壁紙だと思っています。肌や洋服だけでなくお家も楽しんでほしいと思っています。

Q2:現在、どのような活動をされていますか?

インテリアショップと不動産屋とDIY型賃貸借を広める活動に力を入れながら、お店に置いているオリジナル商品もこだわっています。業界にないものを取り入れたり、大切にしたい、残したいと思う業界と商品開発をしています。
日本の伝統の和紙や畳は衰退産業と言われることもありますが、その流れを少しでも止めるために、売れる力をつけられるように商品開発しています。和紙と畳は歴史も古く、日本独自の製造方法で、私たち日本人が作り出した貴重なものです。最近の新築の家には和室が付いていなかったり、あってもビニールクロスだったり畳もビニールだったりします。そうすると、伝統産業で作られた製品のことを知らない人も増え、廃業に追い込まれてしまうのが現状です。まだ作れるうちに、製法を習得している人を残さないと、二度と作れないものになってしまいます。私たちインテリアコーディネーターや、内装デザイナーが、お客様に和室の良さを伝えることで、止められる部分でもあると思うので、その責任感を持って仕事をしていたいです。
今は、伝統を残す活動の一つとして、オリジナル商品の畳と和紙をまず海外に売り出すことから始めています。パリのメゾン・エ・オブジェというインテリアの展示会に出展していて、実際にフランス、イギリスなどのヨーロッパ圏内に仕入れてもらう流れを作っています。日本以外の消費先を見つけることで、生産量を増やすことができるかもしれません。この活動が広まり日本でも多くの場所で使われてい行ったらいいなと思っています。

Q3:今後どのようなことをしていきたいと思っていますか?

現在は日本の中を向いて、住まいに関する習慣自体を変えていきたいと思っているのですが、すぐに変えられるものではないので、この活動はじっくり時間をかけて取り組んでいこうと思っています。
また、日本の文化を海外に出して大事な伝統を残し、逆に海外の住まいに対する愛着を持つという習慣など日本に取り入れ、文化の輸出入の活動もしていきたいです。その結果として家族や友人、お客さんも含めみんなで、より良い生活ができたらいいなと思っています。

Q4:活動を続けることでメッセージを伝えたい相手はいますか?またどのようにハッピーになってもらいたいですか?

これからを担う若い人たちに、長年暮らした住宅が、自分の工夫や選択で家を楽しんだ結果「あの家よかったな」という経験をしてもらいたいですね。そうなれば、その次の家選びももっとよくなると思うので、大事にする連鎖を作って楽しんでもらいたいです。
私自身も子育てをする中で、子どもたちが家を借りたり、買った時に不自由してもらいたくないと思うようにもなりました。畳や和紙を知らずに育っている子どももいると思うので、大人になった時に日本の文化をきちんと知っていてほしいですね。それを愛でて楽しめるようになっていてほしいです。