PERSON 人を知る

苔口昭一さん
INTERVIEW

地元を守る農家さんの「価値」を伝え、学びながら挑戦し続けたい

まちなか農家プロジェクト プロジェクトリーダー

苔口昭一 Kokeguchi Shoichi

まちなか農家プロジェクトの紹介

三鷹・武蔵野のまちなか農家さんを応援するプロジェクト。農家さんと生活者の距離を縮めて、まちなか農家さんのファンを増やすための企画やイベントを実施している。

interview インタビュー

Q1:他者からどのようなイメージを持たれていると思いますか?

会社と地域活動とで、イメージは違うかもしれません。勤務しているIT会社では、「仙人」みたいに思われているかもしれませんし、地域では、「三鷹市や武蔵野市で常に何か勝手にやっている人」というイメージだと思います。

Q2:それぞれ、そう思う理由はなぜですか?

会社は長くいる分、落ち着いて仕事をこなしているので、悟りを開いているように思われている気がして、「仙人」という表現を使いました。地域活動では、既存の組織に所属するというより、新しいものを生み出していくのが好きです。現在は「まちなか農家プロジェクト」というコミュニティも運営していますが、これまでもジャンル問わず活動してきました。

Q3:こう思われたいというイメージはありますか?

周りがどう思っているかはあまり気にしていないので、ほとんど考えたことはありません。常に自分の理想に向かって行動していて、関心があれば他のことと同時進行でもやってしまうので、自分の中では「興味=行動」なんですよね。行動の部分も含めて「もっとこうしていきたい」という意味では、農家さんの存在をもっとたくさんの人に知ってもらいたい想いが強いです。まだまだ知られていない部分があるので、もっと伝えていきたいですね。

苔口昭一さん

Love

Q1:「愛を伝える」と聞いて、自分にとっての愛とはなんですか?

相手に対して、「何かあったら全力で助けたい」という気持ちと行動がコミットしているということでしょうか。相手に寄り添い、自分も相手から寄り添われるような関係性のイメージです。「農家さんのために自分ができることは何か」と今行動できているのは、農家さんが地域の安心や安全を守ってくれていると知ったからなので、まさに「愛」を伝えようとしているのかもしれません。

Q2:わざわざいう必要がない、自分の「こだわり」はありますか?

何かをするときは自分が心から楽しいと思えることをしたり、「一緒に何かしたい」と素直に思える仲間と楽しめることをしていたいです。どこか無理をしたり、表面的な付き合いではなく、深い部分で付き合っていたいですね。今、「まちなか農家プロジェクト」の活動をしていますが、農業よりも、「農家さん」に興味があります。「農業」というジャンルではなく、もう少し本質的な部分で繋がっていたいのかもしれません。あとは、今住んでいる場所でもあり生まれ育ってきた地元でもある、三鷹市と武蔵野市で活動をしているのもこだわりですね。

Q3:農家さんについて伝えていきたいのは、どんな部分ですか?

「地域を支えてくれている存在」だということです。吉祥寺の御神輿と言った伝統行事や、地域の防災や防犯活動をやり続けてくれているのは農家さんなんですね。地震があったら、畑が避難場所になるのを知っていますか。ハウスに逃げ込めば、冬でもあったかいですし、防災や防犯訓練の知識があるので、炊き出しもできるし、「地域のどこになにがあるか」も把握されています。直接会ったり、深い部分まで話さないと見えてこない部分ですよね。「地産地消」「おいしいものを作っている」といった「食」以外にも地域を支えている存在であることが「農家さんの地域における価値」だと思っているのでそこを伝えていきたいと思っています。

Q4:現在「愛」が一番向いている関心ごとはなんですか?

「関心ごとという関心ごとはない」というのも正直な答えです。一つの分野だけに関心を向けることがあまりない性格なのかもしれませんが、「地域」というくくりでは、10年ほど前から続けています。地域で活動をすることで「地域に還元する」と表現される方もいますが、自分としては、遊びながら学ばせてもらっている感覚で、「地域で学ばせてもらっている」という気持ちが強いですね。そうやって行動したことが、結果的に、地域の役に立ったらいいなと思っています。

Q5:地域活動に関心を持ったきっかけはなんですか?

堀池喜一郎さんという60代後半のおじさんが発信しているブログを見つけ、なんとなくブログ講座に参加をしたのがきっかけです。その内容が予想以上に最先端で、「会社よりすごいことをやっている」と衝撃を受けたんです。会社でやっていることよりも高度なことを教えていて、さらに参加している方々のモチベーションも高くて、参加前のイメージとギャップがありました。後から知ったのですが、堀池喜一郎さんは、シニアがシニアに教えるパソコン教室など「三鷹産業プラザ」で活動しているNPO法人シニアSOHO三鷹を立ち上げた方だと知りました。
地域で活動する際には、持続性を持たせて次世代を育てていくために、利益を出していくことも大事にしていますが、その姿勢もその方から学びました。まちなか農家プロジェクトも、繋がりでいろんなお話をいただいて、興味があることを行動に移してきました。その出会いがなかったら、今こうして地域活動もやってないかもしれませんね。

苔口昭一さん

Action

Q1:いままでどのような活動をされてきましたか?

「まちなか農家プロジェクト」の活動だけでなく、コミュニティビジネスの創業支援や、30代から50代の地域の仲間と、「絆バー」というコミュニティスペースの運営をしてきました。IT会社での経験を生かしてcord for JAPANの活動にも携わりましたが、集客の大変さや、ボランティアと事業の境目を感じて苦戦することも多かったです。きちんと続けていくために、地域活動の中でお金が回る仕組みを作ることにも悪戦苦闘しながら、ここまでやってきました。
「市民×IT」という集会でアイディアを出し合って、議論した際に、「子育て」「食」が大きなテーマだと感じ、農家さんにも話を聞き始めました。それが、「まちなか農家プロジェクト」が生まれたきっかけです。そこから活動を知っていただいて寄付をしていたけるようになり、少しずついろんな活動をしています。

Q2:現在どのような活動をされていますか?

「まちなか農家プロジェクト」というコミュニティで武蔵野市と三鷹地域の農家さんを応援する活動をして、4年が経ちました。発足当初は、ITを活かしてアプリなどを開発することも考えていましたが、実際に農家さんと話すうち、まずは「農家さんを知ってもらう」ことが大切だと気づきました。農家さんにインタビューをして発信したり、イラストをお願いしたり、携わってくれるメンバーそれぞれが得意なことを発揮してもらえるようにしています。この地域の農業は、畑と街の距離も近い「都市農業」という種類です。「農家さんと会える」ことや、「若い世代も農業に参加している」ことが大きな特徴であり強みで、それも活かして活動をしています。

今で、月に一回、第四日曜日に完全予約制で農家さんの「旬の野菜セット」をお届けしています。取りに来ていただくか、コロナ禍ではご自宅への配送も対応しています。駅前で、気軽に地場の野菜を購入できる場所を作って「農家さん」を知ってもらいたいと思いました。その日の朝に採れた野菜を直送して、まさに採れたてのお野菜を楽しんでいただけます。Facebookのコミュニティページの運営もして、応援してくださっている方同士の情報交換にも力を入れています。

Q3:今後、どのようなことをしていきたいですか?

農家さんの存在や価値を、もっと多くの人に知ってもらいたいです。コロナ禍以前行っていた、毎月公開収録のラジオを復活させていきたいですね。「公開収録」という形をとっているのにも理由があって、公開収録では本音トークを聞けるのが結構面白いんです。web上で公開するものは編集をしたものですが、個を知れるのって面白いですし、ファンを作っていくきっかけになっていくんじゃないかと思っています。イベントとして、直接の交流の場にもなったりするので、復活させていきたいです。

Q4:その活動は誰のためにおこなっていますか?活動を通してメッセージを伝えたい相手はいますか?

団体自体は 農家さんのためですし、活動は自分のためでもあります。地域の方にとっても、農家さんの存在は知ってもらった方が絶対に得だと思うんです。こんなに顔を見れる関係で、近くにあるのに、知らないでいるのはもったいないことです。地域のために農家さんがこんなにも動いているこを知ってもらい、旬の野菜を食べて美味しく季節を感じていただきたいですね。私自身は、農業については野菜の育て方を知らないような初心者なので、だからこそ、皆さんと同じ視点でいれるのはよかったと思っています。

Q5:活動を続けることでメッセージを伝えたい相手にどのようにハッピーになってもらいたいですか?

地域の方と農家さんとの距離を縮めて、農家さんに繋げていくことで、「もっとこういうことをしてみたい」と前向きな気持ちが生まれると思います。そうやってモチベーションをアップさせて、結果的に畑の維持にも役立ちたいです。土地に多額の相続税がかかる問題など、根本的な問題もありますが、ファンになった方たちと一緒に声をあげれば、例えば国が動いてくれることもあるかもしれません。そして個人的には、今後農家だけでなく他のジャンルにも挑戦していく予定です。生まれ育ったこの地域で学びながら、新たな活動を生み出していきたいです。

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