ファミリーヘルスクリニック武蔵野 院長
中西 貴大 Nakanishi Takahiro
- 東京都武蔵野市吉祥寺東町2-7-3
- TEL:0422-21-4800
- WEB:https://mu.f-health.org/
ファミリーヘルスクリニック武蔵野の紹介
ファミリーヘルスクリニック武蔵野は、東京都武蔵野市に拠点がある、在宅医療、訪問診療を専門としたクリニックです。武蔵野市、西東京市、三鷹市、杉並区、練馬区を中心に活動しています。 救急・総合診療・緩和ケアの専門家が、24時間365日あらゆる病気に迅速に対応します。
interview インタビュー
- Q1:他者からどのようなイメージを持たれていると思いますか? また、その理由はなぜだと考えますか?
“ビジョンを掲げてチャレンジしている人”でしょうか。ごく親しい人からは“頑固”とも言われますね。僕は一度やり始めたら最後までやり遂げますし、自分がやると決めたら、誰に反対されてもやる性格なので、それが理由かと思います。
ちなみに、これは親の教育が影響していると思っていて―。僕は子どものころから、親に「一度やると決めたら最後までやり遂げなさい」と言われてきました。習い事でもなんでも、やめるならちゃんとした理由が必要だったんです。「なんとなく嫌だからやめるでは何も成長しない」と言われてきたので、そういう思考が染みついているのかもしれませんね。
- Q2:どんな人になりたいと思いますか? また、他者からはどのようなイメージを持たれたいですか?
誠実で信頼できる人でありたいと思っています。困ったときに「あの人だったら相談しやすいな」と思ってもらえるような、心理的な安全性が保たれている人になりたいですね。
これにプラスして、芯の強い人でいられたら理想的です。必要なときに背中を押してあげられるような、強さゆえの優しさを持った人になれたらいいなと。なので周囲の人からは、“安心できていざというときに頼りになる人”なんて思ってもらえると嬉しいかもしれません。
- Q3:現在、なりたい自分になれていると思いますか?
まだまだ全然です。気分のムラを作らない、オープンマインドで人と接する、否定的に話をしないとか―。こういったことは、頭のモードとして意識しないとできない部分がまだあります。これをナチュラルにできている人を見ると、本当にすごいなと感じますね。
“Love”
- Q1:「愛を伝える」と聞いて、自分にとっての愛とはなんだと思いますか?
患者さんやそのご家族とコミュニケーションを取りながら、医療を通じてその人たちの生活を少しでも豊かにすることが、僕にとっての“愛”なのかもしれません。
患者さんに対してどんなアプローチをするのかは、医師によって違います。僕の場合は、患者さんを“点”としてみるのではなく“線”としてみている、つまり、ただ病気を治すだけではなく、その人の人生の役に立ちたいと思いながらアプローチをしているんです。同じ性別・年齢で同じ病気の人がいても、その人の家族構成や価値観、生活環境などによって最適な医療は変わってきます。100人いれば100通りの治療法があるので、その人に最適なものを見つけるのはとても難しいのですが、だからこそ興味深くてやりがいを感じるというか―。患者さんと一緒に考えて悩んで、最良の解決策を見つけてあげたいと思っています。
- Q2:そもそも中西さんはなぜ医師を志したのでしょうか?
僕は出身が兵庫県で、幼少期に阪神淡路大震災を経験しました。学生時代にはJR福知山線脱線事故があり、この事故は、僕が通っていた学校の卒業生や在校生の親も亡くなられるなど、とても身近なものでした。でも当時の僕は何もできなくて、そんな自分にモヤモヤとした無力感のようなものを感じたんです。こういった経験や感情が、僕が医師を志すきっかけになったんだと思います。
- Q3:医師として働くうえで大切にしていることはありますか?
医師を志したころから今もずっと変わらず、「目の前で苦しむ人がいたら手を差し伸べる」という信念を持っています。これは僕の核となる考え方ですね。
また、僕の仕事は人の死、つまり人の最期に関わることが多いので、僕が関わった人には「最期にあの人たちに関われてよかった」と感じてほしいと思っています。それまでいい人生を歩んできたのに、最期に僕らが提供した医療がその人の価値観とまったく違うものだったら悲しい―。終わりよければすべてよしではないけれど、どんな人生を歩んできた人でも最期はきれいに収めてあげたいです。
- Q4:とくに人には言わないけれど、自分の中で大切にしている「こだわり」はありますか?
治療法などで悩んだときは、「自分や家族だったらどういう選択をするのか」と考えるようにしています。基本的には、患者さんの価値観や立場に立って、この治療はすべきかどうかなどを考えるのですが、なかなか答えを出せないときもあるんです。そんなときは、一度自分や自分の身近な存在に置き換えて考えてみますね。
また、医療は非常に専門性が高いので、患者さんへの伝え方を少しでも間違えると、信頼関係が壊れてしまうことも珍しくありません。ですから、治療法や今後の方針などを患者さんにお話しするときは、慎重に言葉を選ぶようにしています。
- Q5:現在「愛」が一番向いている関心ごとはなんですか?
やはり今は「患者さんが何を考えているのか」ですね。独立して自分でクリニックを始めて、まだそこまで大きくなっているわけではないので、面識のない患者さんもいないですし、患者さんとクリニックのことが頭から離れることはないです。患者さんへの責任とともに、患者さんが今どう思っているのかというのは、いつも意識しています。
“Action”
- Q1:今まではどのような活動をされていましたか?
大学2年生の終わりに学生団体を作り、ラオスで医療支援をしていました。この活動は卒業するときにそのまま在学生に引き継いだのですが、医師として働き始めてからも休日などを利用して現地へ行き、医療支援を行っていましたね。
卒業後は湘南鎌倉総合病院の救急で働きました。僕がここで救急を選んだのは、早くいろいろなことが学べるからです。僕は人の何倍もやらないと優秀な人に追いつかない―。自分の力不足で救えない命があるのはすごく悔しいから、救急でほかの人よりも早く多くのことを学び経験しようと考えたんです。
その後は、内科や緩和ケアなどで経験を積みました。救急の専門医になろうかと考えた時期もありましたが、救急で治療をした後に行う治療のことや、その後の影響などについて知らないと、救急医療がよりよくならないと考えるようになって、もっといろいろなことを学びたいと思ったんです。
- Q2:現在、どのような活動をされていますか?
24時間365日対応の訪問診療専門のクリニックです。緩和ケアで経験したことなどをきっかけに、自分の考え方やスキルはどういう場所で活かせるのかを考え、訪問ケア・在宅診療という形にたどりつきました。
高齢で通院が難しくなった人や、ガンで残された時間をご自宅で過ごすという人など、患者さんの抱えている事情はさまざまですが、人の生活に関わりやすいのが訪問診療だと思っています。
- Q3:今後どのようなことをしていきたいですか?
まずは、訪問エリアに住まわれているみなさんに、クリニックのことを知ってもらいたいです。そして、地域の人たちと信頼関係を築いて、「あそこの病院に相談したら何かアドバイスがもらえる」と思ってもらえたら嬉しいですね。
「人生100年時代」と言われるようになった今だからこそ、人はもっと医療をうまく使うべきだし、医療はもっと人の生活に関わっていく必要があると思うんです。そのためにも、訪問診療がより多くの地域に広がってほしいと考えているので、僕がお世話になったことのある地域や、僕の考えに共感してくれる人がいる地域などでも、いずれは訪問診療専門のクリニックを展開できたらいいなと考えることもあります。ただ医療は日々発展しているので、今後やりたいことは変わってくるかもしれません。
- Q4:活動を続けることでメッセージを伝えたい相手はいますか?またどのようにハッピーになってもらいたいですか?
医療は生活におけるインフラなので、あって当たり前のものなんです。なので、特定の誰かに伝えたいというよりは、みんながもっと幸せに生きられたらいいなと思って活動しています。人が幸せに生きるためには、心と体が健康であって、選択肢を持つことが大切だと思うんです。医療はうまく使ってもらうと人生が豊かになります。だから僕は医療を通じて、人が自分らしく生きるために選択できる社会を作っていきたいと考えています。