PERSON 人を知る

八幡 恭子さん
INTERVIEW

「夢を叶える音楽教室」へ それぞれの想いに愛情で向き合う

八幡音楽教室 代表

八幡 恭子 Kyoko Yahata

八幡音楽教室の紹介

三鷹市で声楽とピアノを中心にレッスンをしている音楽教室。教室を始めて30年、「音楽を楽しんでほしい」という想いを第一に、それぞれの夢を叶えるための指導をしている。音楽指導のほか、高齢者福祉施設でのボランティア演奏も続けている。

interview インタビュー

Q1:他者からどのようなイメージを持たれていると思いますか?

ピアノ教室の先生というイメージからなのか、初対面では「優雅な仕事をしている人」と思われることが多いかもしれません。

Q2:イメージとのギャップを感じることはありますか?

先生である私たちこそ、「とにかく日々勉強」という意識があるので、周りから見られている優雅なイメージとのギャップを感じることもあります。生徒さんたちに教えるということは、私たちも常に学んでいる必要があります。私も勉強する時間を意識してつくり、自身のスキルもしっかり磨いていきたいです。

Q3:生徒の方への向き合い方に変化はありますか?

教室を30年運営してきて、昔はとにかくピアノの技術的な部分を教えていましたが、今は言葉遣いやおうちでのマナーにも声をかけるようになりました。今来てくれている生徒さんそれぞれのニーズに合わせて指導をしていて、成長していくこと、育てていくことに意識が向いています。最近はコロナの影響で、オンライン指導も始めました。ピアノのレッスンのオンライン化は新たな挑戦ですが、時代の流れにも対応していきたいと奮闘しています。

Q4:生徒にとって、どんな存在でありたいと思いますか?

自分が音楽を届けたい気持ち、そしてそれぞれの「夢を叶える」ことを大切にしています。ピアノを習うからといって、必ずしも音大に行ったり、コンクールに出る必要はなく、本人が望むピアノへの向き合い方を尊重しています。それぞれの生徒さんにとって、「目指す方向に向かって最大限能力を伸ばしてくれる存在」でいたいです。レッスンに来てくれる生徒さんには、自分の意志を持ってもらえるように、そして私は指導者として、夢に導ける存在でありたいと思っています。

Q5:そう思う理由はありますか?

実は私も、大学を出てからOLをして、ラジオ局で働いていたことがあります。結果、音楽以外にも視野を広げることができて、今の仕事に生きています。
世の中を見ると、スピーディーに変化していく中で、他人に求めるスピードもどんどん早くなってきている気がします。自分のペースを大事にしたい生徒さんにとっては、生きづらさも感じる時代かもしれません。学校が過ごしづらいと思っている生徒さんたちにも、ピアノ教室では伸び伸びと過ごして欲しいです。

八幡 恭子さん

Love

Q1:「愛を伝える」と聞いて、八幡さんにとっての愛とはなんですか?

「先生のところに行くと、なんだかウキウキワクワクする!」、そんな時間を提供したいと、コロナ禍を経てより強く思うようになりました。生徒さんのやる気や家族が楽しめる時間を作っていくことは、私ならではの愛の伝え方だと思っています。私自身、音楽は厳しく教えられてきた経験もありますが、「厳しさ」の根底に「愛情があるか」は大切だと思っています。時代に合わせて方法は変わっても、「愛情をもって向き合う」ことが、私にとっての愛ですね。

Q2:「ワクワクする時間を作る」ための、具体的なエピソードがあれば教えてください。

まず生徒さんの興味を引き出すために、レッスンでは初めにその生徒さんの「一番好きなもの」を聞いたり、「知育(※)」も取り入れています。これは、生きる力です。音楽だけじゃなく、毎日の生活がよくなっていくような、小さな工夫にも気を配っています。
ある小学校1年生の生徒さんは電車が大好きな「鉄ちゃん」で、「三鷹駅から東京駅までの駅名を覚えてきてね」と言ったら、次のレッスンでは漢字で駅名を書いてきてくれました。しかも、三鷹駅を飛び越えて日野駅から覚えてきたのが、いい意味での衝撃でした。さらに他の生徒さんにもやってもらったら、次のレッスンからドアを開けた瞬間に「先生!先生!」と飛び込んでくるようになったんですよ。子どもの可能性ってすごいですよね。

(※)知能を高め、知識を豊かにするための教育。特に、子どもの柔軟な脳を刺激して才能を引き出したり、行動力や積極性などを身につけさせたりすることができると言われ、幼児教育の三育の中の要素の一つ。

Q3:「愛情を持って向き合う」ために、八幡さんの「こだわり」はありますか?

生徒さんが「自分で考える時間」を大切にしています。「これはこうだよ」と、どんどんいろんなことを伝えるのではなく、まず「どう思う?」と問いかけるようなイメージです。先に教えてしまうのは簡単ですが、じっくり考えたり、悩んだりすることは、その子の個性を生み出したり、成長するヒントになると思います。その結果、生徒さんやご家族に喜んでもらえたり、生徒さんの夢が叶えられたら、自分のことのように嬉しいですね。

また、「出し惜しみしない」ということも大切にしています。これは相手のためでもあり、自分のためでもあります。「あの時こうしていれば」という後悔はしたくないというのと、「そこでネタが切れるようだったら、それまでの人だ」と自分を律している部分もあるかもしれません。家族、ピアノ教室などいろんなコミュニティがありますが、どんな場所でも自分ができることは全力で向き合っていたいです。

Q4:他にも、大切にされている想いや言葉はありますか?

以前、感謝や恩を循環させる「ご恩送り」という言葉と出会いました。ある友人にすごく助けられた時に「恩返しさせてね」と話した際、「私に直接恩返しするのではなく、他の人にしてね」と言われたんです。ご実家のお寺の教えで、その人に直接恩を返すのではなく他者に向けていく、これが「ご恩送り」で、世の中がよりよくなっていく循環になるという意味があるそうです。レッスンでは先生として教える立場ですが、逆に教えてもらっていることがたくさんあります。生徒さんがレッスンに通ってくれていることにも、出会いにも、一人一人に感謝をしていたいです。今は、教室を通して「ご恩送り」を体現できているのかもしれません。

八幡 恭子さん

Action

Q1:これまでどのような活動を続けてこられましたか?

30年ほど「ピアノ」と「声楽」を指導する音楽教室を運営しながら、高齢者福祉施設で、生徒さんと一緒にボランティアで演奏活動も続けてきました。親戚が障害を持っていることもあって、音楽を通して何かしたいという気持ちが強かったんだと思います。長年続けることができている活動で、初期に一緒に活動していた生徒さんはお母さんになり、今はその生徒さんがレッスンに通ってくれているのも、ありがたいことです。
音楽教室では、今年の受験シーズンには、音楽学校の受験まで時間のなかった生徒さんを「なんとかしたい」と立候補して指導しました。人生を一緒に背負うような気持ちだったので、第一志望合格という夢が叶ったときには感激しましたね。

Q2:現在、レッスンの中で大切にされていることはありますか?

その子の成長のポイントを逃さないよう、その子に寄り添った絶妙な声かけを心がけています。音楽を楽しんでほしい想いが一番ですが、指導者である以上、成長を願う気持ちも同じくらいあります。「レッスンノート」も、成長を促すための工夫の一つですね。レッスン内容を書き留めておくことで、「3ヶ月前どうだった?」と一緒に振り返ることができて、成長を自覚できます。それでモチベーションが上がり、そこからまた次の成長につなげていくことができます。何か新しいことを始めてから1,3,5, 10ヶ月の節目は、ちょうど成長期で、次のステージに上がる節目になるという話も聞いたことがあって。ちゃんと意識できていたらよかったのにと思う自省の気持ちもあるんです。一人一人に向き合っているからこそできる、そんな声かけを大切にしています。

Q3:今後は、どんな活動をしていきたいですか?そして、レッスンではどんなことを教えていきたいですか?

娘も社会に出て、母親業から卒業するタイミングなので、これからはより指導に時間と想いを費やしていきたいです。学校でも、家庭でもない「ピアノ教室」という場所を通して、それぞれが自分の届けたい音楽を発信できる機会を作り、一人一人の人生が楽しいものになっていったら何よりうれしいです。自分自身の演奏をする場も決まっているので、引き続き演奏者としても鍛錬していきます。ワクワク音楽を楽しめる時間を、そして夢を叶える時間を、これからも生徒さんと一緒に作っていきたいです。

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